稲毛デンタルクリニック

歯周病を予防して歯を残すには?
セルフケアの限界と専門医が教える正しい対策

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将来、できるだけ長く自分の歯で過ごしたいと考える一方で、今行っているケアが本当に十分なのか、不安を感じている方は少なくありません。

歯周病は正しい知識を持ち、適切なケアを継続することで、予防や管理ができる病気です。一方で、自己流のセルフケアだけでは限界があり、気づかないうちに病状が進んでしまうケースも多くあります。

本記事では、日本歯周病学会の専門医・認定医が在籍する当院が、歯周病予防の基本となる考え方やセルフケアのポイント、歯科医院で行うプロフェッショナルケアの役割について解説します。将来の健康を見据えた「本当の予防」を考えるための指針としてお役立てください。

【予防法①】歯周病予防の基本は毎日の「セルフケア」

歯周病予防の土台となるのは、毎日のセルフケアです。ただし、ここで注意したいのは「毎日磨いている」ことと「正しく磨けている」ことは全く別であるという点です。まずは、セルフケアの正しい知識と考え方を知っておきましょう。

原因となる「プラーク(歯垢)」を落とすことが最重要(プラークコントロール)

歯周病の直接的な原因は、「プラーク(歯垢)」と呼ばれる細菌の塊です。「食べカス」と勘違いされがちですが、プラークはわずかな量に数億もの細菌が潜んでおり、その中には歯周病の原因菌も多く含まれています。そのため、歯周病を予防するうえでは、お口の中からプラークをできるだけ除去する「プラークコントロール」が重要となります。

一方で、プラークは非常に粘着性が強く、うがいや薬剤などで洗い流すことはできません。歯ブラシなどでこすり落とす「物理的な除去」以外に、これを取り除く確実な方法はないことを正しく理解しておく必要があります。

ブラッシングは「歯と歯ぐきの境目」を意識する

ブラッシングで意識したいのは、歯の表面だけでなく「歯と歯ぐきの境目」を狙って磨くことです。毛先を45度の角度で当て、軽い力で細かく小刻みに動かしながらプラークをかき出していきます。ただし、力を入れすぎると歯ぐきを傷つけてしまうため、1本ずつ優しく丁寧に磨くことを心がけましょう。

デンタルフロス・歯間ブラシを併用する

歯と歯の間は、歯周病菌がたまりやすい場所の1つですが、この部分の汚れは歯ブラシ単体だと全体の6割ほどしか除去できないといわれています。

そこで活用したいのが、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃器具です。これらを併用すると、プラークの除去率は8割~9割近くまで向上します。

毎日のケアにこのような補助清掃器具を組み合わせることで、歯周病の発症・進行リスクを大きく下げることができます。1日1回、就寝前の使用がおすすめです。

歯磨き剤・洗口液(マウスウォッシュ)は補助として

歯周病予防に特化した歯磨き剤や洗口液には、細菌の活動を抑える成分や炎症を鎮める成分が含まれており、併用することでセルフケアの質が高められます。

ただし、これらはあくまで補助的なものであり、使用に際しては物理的なブラッシングでプラークを取り除くことが大前提です。歯磨き剤や洗口液に頼った予防には限界があることを理解しておきましょう。

【予防法②】歯科医院で受けるプロフェッショナルケア

歯周組織再生療法:GTR(GuidedTissu Regeneration)法

セルフケアを毎日丁寧に行っていても、それだけで歯周病を完全に防ぐことはできません。ここで重要になるのが、歯科医院での定期的な「プロフェッショナルケア」です。

セルフケアの限界とプロフェッショナルケアの必要性

どれほど丁寧に磨いたとしても、ご自身によるセルフケアだけで汚れを完全に除去することはできません。さらに、磨き残したプラークは、数日経つと唾液中の成分と結びついて「歯石」へと変化します。プラークが歯石に変わると、歯ブラシで取り除くことは困難なため、こうした汚れは歯科医院の専門的なクリーニングが必要となります。 くわえて、患者様一人ひとりによって、歯並びや唾液の性質、生活環境は異なります。専門医によるリスク評価を受け、自分に合ったケアの方法を知ることが、本当の意味での予防につながります。

プロフェッショナルケア(定期メンテナンス)の内容

歯科医院のプロフェッショナルケア(メンテナンス)では、お口の中のトラブルを未然に防ぐための専門的な処置を行います。

歯周組織の検査・チェック

歯ぐきの色や腫れの有無、炎症の状態を専門的な視点で詳しく検査し、病状の変化を捉えます。

スケーリング(歯石除去)

セルフケアでは落とせない歯石を、専門的な器具を用いて徹底的に取り除きます。

PMTC

専用の機器を使用し、歯の表面を滑らかに整えながら、細かな汚れまで徹底的に除去します。

受診頻度の目安

個々のお口の状態により異なりますが、一般的には「2〜3ヶ月に1回」の受診が理想的です。

細菌が再びお口の中に定着し、歯ぐきに悪い影響を及ぼし始めるサイクルを考慮すると、この頻度でプロフェッショナルケアを受けることが、効率よく歯周病を抑えられる手段となります。

【予防法③】歯周病になりやすい生活習慣を見直そう

歯周病の発症や進行には、日常の生活習慣も大きく関係しています。日常生活の中にあるリスクを減らすことも、歯周病予防では重要です。

喫煙(タバコ)は歯周病の最大のリスク因子

喫煙は歯周病の発症・進行を助長する最大のリスク要因です。喫煙習慣がある方は、そうでない方に比べて歯周病の進行スピードが速く、治療の効果も出にくいことが分かっています。

一方で、禁煙に取り組むと、タバコによって低下していた血流や免疫の働きは徐々に回復へと向かいます。禁煙を継続することによって、歯周病にかかるリスクが低下していくことはもちろん、歯科医院での治療やメンテナンスの効果がより発揮されやすくなります。

食生活

糖分の摂りすぎは、プラークの形成を助け、細菌の増殖を促します。

また、歯ぐきの健康を支える栄養素(ビタミンCなど)や、骨を支えるための栄養バランスを整えることが、お口の中の環境を整える土台となります。規則正しい食生活を心がけることが、間接的に歯周病予防へとつながります。

疲労・ストレス

過度なストレスや慢性的な疲労は、体の免疫力を低下させます。免疫力が落ちると、それまで抑え込めていた歯周病菌の活動が活発になり、急激に症状が悪化することも少なくありません。十分な睡眠とリラックスできる時間を確保することは、全身のみならず、歯ぐきの健康を守るうえでも大切な要素です。

なぜ歯周病は「予防と管理」が欠かせないのか

歯周病は適切なケアによって予防や進行のコントロールが可能な一方、気づかないうちに進行しやすいという特徴があります。ここでは、歯周病がなぜ早い段階から予防や継続的な管理が必要とされるのか、その理由について解説します。

歯周病は「サイレント・ディシーズ(沈黙の病)」

歯周病の最大の問題は、痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進行する点にあります。歯ぐきの炎症が起きていても、日常生活に大きな支障が出ないことも多く、「まだ大丈夫」と自己判断してしまいがちです。

厚生労働省の調査などによると、日本人の成人の約8割がすでに歯周病にかかっている、あるいはその予備軍(リスクを抱えている)であるとされています。症状が出にくいからこそ、気づかないうちに進行しているケースが多いことが、この数字からも分かります。

歯を失う原因の第1位は「歯周病」

歯周病は、歯を支えている周囲の組織(歯ぐきや骨)が破壊されて、最終的に歯を失ってしまう病気です。実際、日本人が歯を失う原因で、歯周病は最も多くの割合を占めています。

一度失われた骨を元の状態に戻すことは容易ではないため、早い段階での予防と管理が重要になります。

歯周病セルフチェックリスト

以下のような変化がみられる場合、すでに歯周病の兆候が現れている可能性があります。

いずれも症状が軽いうちに状態を把握できれば、セルフケアの見直しや歯科医院での定期的な管理によって進行を抑えることができます。

症状が進んでから慌てるのではなく、早めに歯科医院で専門的な検査を受けることが大切です。

「セルフケア」と「プロケア」の両輪で生涯自分の歯を守る

歯周病は正しい知識を持ち、日々のセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアを「両輪」として機能させることで、予防・管理できる病気です。

「将来、歯を失うかもしれない」という不安を解消するために最も有効な手段は、現状を正しく知ることから始まります。自己流のケアだけで済ませようとするのではなく、質の高い診断と技術を持つパートナー(歯科医院)を見つけ、予防の体制を整えることが大切です。

当院では日本歯周病学会の専門医・認定医が在籍し、歯周病のリスクや進行度をふまえたうえで、将来を見据えた予防・管理のサポートを行っています。まずはご自身の今の状態を知るだけでも構いません。将来の健康と豊かな生活を守るために、お気軽に当院へご相談ください。

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